―――まずはバックグラウンドを教えてください。

Julien David：昔からやっていたスケートボードと音楽に一番影響されていると思います。スケートボードを始めたのは9歳か10歳の時で、フランスに住んでいましたが、当時2大スケートの雑誌であったアメリカの「Trasher magazine」と「Skateboarding magazine」を毎月手に入れようと必死になっていたのは今でも思い出ですね。Powell PeraltaやSanta Cruzのビデオを見たりもしていましたし、当時はスケートボードはストリートアートとの関係性も深かったので多くのスケーターが壁にアートを描いていたり、ハーフパイプやスケートパークにグラフィティを描いていた時代でしたね。夏には、スケートボードの裏でサーフカルチャーのQuiksilver、Stussy、Oxbow、Town & Countryなどのブランドも巨大でした。スケート、アート、ファッション、そしてビーチ、コンサートはすべてが繋がっていたんです。

―――音楽もストリートカルチャーと繋がっていたんですね。

Julien David：自分にとって音楽はストリートとは少し別ですが、自分の人生の中で大きな意味を持ったということは間違いないです。私はメタルからグランジへ、そしてヒップホップからエレクトロニックへ変わる激動の世代でした。それぞれ全く異なるジャンルでしたが、どういうわけか、どの時代の音楽も大好きで、その時々のファッションスタイルやアルバムのカバー、ミュージックビデオで使用されたグラフィックデザインやアートワークも大好きでしたね。このようにアートは常に文化に浸透していました。

―――ファッションデザイナーの頃は日々どんな思いで仕事をしていましたか？

Julien David：今までの人生は創造性に引き寄せられていましたが、90年代後半の初期にPhotoshopと3Dスタジオ4を使用してグラフィックを作成することを独学で学び、グラフィックデザイナーとして数年働いていました。その後、自分のブランドを立ち上げる為にファッションブランドで15年間働いていましたが、ある時に季節ごとのコレクションはせず、時々自分のプロジェクトや友人や一緒に仕事をしているアーティストのためにアイテムを作るようになりましたね。ファッションはいつも自分を表現する為に使う１つのメディアだと思っています。

―――Julienにとって芸術の意味、そして文化の意味は何ですか?

Julien David：誰もがアートの意味について「自分自身の定義」を持っています。もし興味があれば、自然に定義なしで探しているものを見つけることができると思うんです。文化は人間の生活の結果ですからね。

―――アートを始めたきっかけは何だったんですか。

Julien David：私は人々がアートをサポート、そして保護したほうがいいと感じています。またアートを私たちが住んでいる時間の響板として見ています。これは非常に興味深い事でアートは人生に彩りを添えると信じています。アートからは他からでは得られない何かを得ることができるんです。

―――FRIDGEとはどんなプロジェクトですか？

Julien David：2019年に私が好きな日本人アーティストと仕事をする目的でTHE FRIDGEを始めました。THE FRIDGEは4年間、最初は日本で、現在はアメリカで巡回ギャラリーとして機能し、非常に親密で、より大きな規模で、より楽しく、より商業的なプロジェクトを行っています。

―――今回選んだアーティストについて教えてください。

Julien David：今回はDayzの2回目のプロジェクトとして、現在日本を拠点に活動している素晴らしい才能のあるストリートアーティストの何人かに光を当てたいと思っていました。そこで、私が好きで尊敬している5人のアーティストを選び、ICEという言葉が書かれた2つのカスタマイズされたユニークなプリントで各作品を依頼しました。ICEのロゴ/フォントは、コンビニエンスストアやガソリンスタンドで見つけることができるアイスキューブでICEマーチャンダイザーのクラシックロゴに基づいています。 それに、私のギャラリー名はTHE FRIDGEなので、ICEという言葉を使うのは楽しいと思いました。 このプロジェクトに参加する5人のアーティストは、 MAW、KITCHI、CRASTY、MASAGON、JEREMY YAMAMURA です。彼らは皆信じられないほど才能があり、特異なビジョンを持っています。

―――Julienにとって渋谷はどんな街ですか？

Julien David：渋谷は若者文化がさまざまなレベルで起こる場所であり、昼夜を問わず創造性の中心地です。

Photo : Masataka Obayashi