CIRCLE OF DAYZ vol.2 Tetsu Nishiyama Part1
2020.11.27 #INTERVIEW
「DAYZ」と結びつきの強い人物や「DAYZ」が心惹かれる人物についてじっくり深掘りしていく「CIRCLE OF DAYZ」。第二回は、〈FORTY PERCENT AGAINST RIGHTS〉、〈WTAPS〉そして〈DESCENDANT〉のブランドディレクター、西山徹に話を訊いた。彼が〈FPAR〉名義で開催した初の展覧会「The truth is out there」。前編は、同展の開催に際しての想い、服作りとアート制作の差異について。
時代と調和する〈FPAR〉のメッセージ。
——今回、初めての展覧会のプロデュースとしてDAYZで関わらせて頂きました。〈FORTY PERCENT AGAINST RIGHT〉がアートショーをするというアイディアはどのように実現したのでしょう?
DAYZのディレクターである渡辺さんから、DAYZを通して何か一緒にできないかというお話があり、ブランドとショップで行う普通のコラボレーションアイテム販売とはまた違った、何かができたらいいなということでアイデアに出たのが、DAYZに隣接するSAI GALLERYを巻き込んで行う〈FORTY PERCENT AGAINST RIGHTS〉(以下、FPAR)のインスタレーションやアートワークの展示ということでした。というのもFPARは90年代に遡り、渋谷で生まれたブランドであり、これまでシルクスクリーンを通して何かしらを発信してきました。そのブランドをDAYZのような渋谷に拠点を置き東京発のカルチャーを発信するショップがフィーチャーし、これもまた渋谷を代表するアートギャラリーSAIを通し、インスタレーションやアートワークを展覧会といったカタチで発信するというのは必然だったのかもしれません。
——タイトルをThe truth is out thereにした理由は?
ここ日本を含めて世界的な現況がインスピレーションになっています。『The truth is out there』とは、誰もが見過ごしてきた真実です。今自分たちは、それまで当たり前に享受していた日常の尊さを知り、ニューノーマルとしてシンプルな生活へシフトする過程で、今の時代が抱える大きな課題に直面しながらも将来を見据えそれぞれが向き合うことが大切になってきたと思うんです。だからこそ、その先に”真実がある”んだと思います。『The truth is out there=真実はそこにある』。そんな意味を持ったタイトルです。
洋服とアート、モノづくりの本懐。
——〈FPAR〉名義で、洋服ではないもの、”アート”を始めたことで、何か感情の変化はありましたか?
自分にとっては特に何かが変わったということはありません。傍から見ても、それに以前から〈FPAR〉を知っていてもいなくても、見たままのものだと思うんです。洋服というプラットフォーム以外でのモノといった印象じゃないかなと思います。洋服は着て歩くことができますが、額装されたアートワークを持って歩くことは難しいですから。基本的に、洋服は纏うことが自己表現の一つですが、自分の気に入った額装されたアートワークが家に置いてあることも、自己表現の一つであると思っています。これまでアウトプットは洋服が主体であり、主にTシャツでしたが、今回、展覧会というプラットフォームでアートワークを展示することに対しては、なんの難しさも違和感も感じませんでした。むしろ逆に、これまでとは異なったアウトプットのプロセスやエディットを楽しめました。どちらにしても楽しいものですが、今回のようなアートワークの方が表現に自由度があるので、考えを深く持って製作できる。展示されている作品は、あそこに唐突に現れたわけではなく、空間演出、館の人通り、といった環境要素に始まり、テーマやストーリーに作風、手法と考えることがたくさんありました。だから作っているプロセスが一番楽しくて、そこが一番のピークであったことは間違いありません(笑)
——モノづくりは過程が楽しいですよね。文化祭と同じというか。
そうなんです。だからお披露目となる今日という日を迎えるのがすごく嫌で。(笑)一昨日くらいまでは、ちょうどセッティングしていた時なので、楽しかったんですけどね。当然ながら、見てもらうことを前提に考えた製作ではあるんですが、正直“見てもらう“ってことに対しては、楽しみでもなかったりします。(笑)
PROFILE
西山徹(Tetsu Nishiyama)
1974年、東京都生まれ。’93年に〈FORTY PERCENT AGAINST RIGHTS®〉を、’96年には〈WTAPS〉をスタートし、国内外の絶大な支持を得る。2014年からは〈DESCENDANT®〉も手がけるなど、その普遍的な物作りで、東京ストリートシーンを牽引し続けている。
Interview : Yu Yamaki
Text & Edit : Shu Nissen
Photo : Kenta Karima
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