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1月27日より矢入幸一氏の個展『Koichi Yairi 24,♯1』が開催

2024年1月27日(土)より2月18日(日)まで、アーティスト・矢入幸一氏による過去最大規模個展 “Koichi Yairi 24,♯1”がSAIとGALLERY TARGET 共催で開催される。

矢入幸一氏はペイントと印刷技法を駆使する「技法のコラージュ」を用いた制作技法と多様な形にシェイプドされたキャンバスを用いて、一見ポップでありながらどこか静寂と繊細さを備えた表現で知られている。また、展示空間全体をひとつのオリジナルストーリーで紡ぎ、まるで絵本を読み進めるかのように構築される展示方法もユニークで、これまで国内外のアートシーンおよびカルチャーシーンで注目を集めてきた。



これまでロンドン、ソウル、香港、福岡そして東京での個展成功を経て迎える本展は、作家本人にとってのひとつの集大成として、そして新しい表現開拓の場として機能。2つに分けられた展示空間は、ひとつはこれまでのスタイルに沿った、作家自身の生活よりインスピレーションを受け生まれた物語を軸に、挿絵の役割を果たすキャンバス作品が展示され、ストーリーのイメージを膨らませる。もうひとつの空間ではこれまでの物語を用いた展示とは異なる、印刷とペイント双方を用いた制作手法のポテンシャルを試す場として、より複雑で洗練された大型キャンバス作品が並ぶ予定だ。



クラシックアニメーションを彷彿するベンデイドットのザラッとした背景の中に浮き出るキャッチーなキャラクター達。矢入の手によって描かれる作品のほとんどにはペインティングと合わせて印刷の手法が用いられています。美術大学を卒業しグラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートした背景もあり、作品のレイヤー化されたディティールバランスには、近年に向け技術発展が顕著な印刷メディアとアートピースの古からの手法・ペインティング表現の絶妙な調和が宿る。これらの手法を矢入は「技法のコラージュ」と呼びます。このスタイルは、大衆漫画のイメージ起用でポップアートの価値を大きく変遷させたロイ・リキテンシュタインの「工業用」の絵画に手法として近いウィットさもあり、デザインとアートいずれもが異なるベクトルでありふれる現代で双方の制作プロセスへの感受性を兼ね備える彼だからこそ実現可能な表現と言えるだろう。



そんな探究心溢れるプロセスを持つ作品群の軸となる物語の組立て方も興味深い点のひとつ。「偏った考えを持たず、いろんな視点に立って考えることの大切さ」を矢入自身の真っ直ぐな感覚の元その都度興味のある、日本史及び世界史、化学実験やそれに伴って生まれる現象等事実を自身の中にインプットする際に生まれる違和感をテーマにするという物語は、正に本人に内包される唯一無二のピュアなアウトプットと言えるだろう。本展に向け生まれた物語もまたそのような経緯を持ち生まれたもので、とある国の優しく、人望もあり、強く逞しい王様の登場から始まり、その王様がとった行動を2つの視点で展開。リベラルな視点と奥行きのある手法で描かれる本作品群は、みるものに美術鑑賞の新しい側面を示してくれるに違いない。



また、初公開となる大型新作群に本展の主眼を置く事もできる。過去最大4mを超える作品を含む本シリーズはこれまでのストーリーに沿うように描かれた作品の物語の挿絵のような感覚は断ち切られ、作品ひとつひとつが独立した作品として発表される。さらに、描かれるイメージもこれまでのそれとは異なり、キャッチーだったキャラクターは解体され絵画の要素として、印刷パターンや筆跡等、各技法を強調させるように変換。プロセスと技法の研究を重ね発表される、これまでのスタイルと似て悲なる作品群は、心地よいカオスへと進化し、背景より一見すると真逆にもみえるが、不思議と現代を捉える対象の要素が超過した、絵画自体の意味を問う無対象芸術としても解釈することができるだろう。



会場では、本展に向けたオリジナルグッズ販売をはじめ、ソフビメーカーGOCCODOとのコラボソフビの展示。またファッションブランド SOPH.(※)とfragment design 藤原ヒロシ氏が手掛けるブランドuniform experimentとの展覧会オリジナルコラボレーション商品も販売予定です。ここでしか味わうことのできない矢入幸一氏の世界に是非足を運んでほしい。



(※)本展に合わせ同施設 2F、SOPH. MIYASHITA PARKでは、矢入幸一氏がデザインしたグラフィックを採用したuniform experiment 24SSコレクションの販売も開始される。それに伴い、店頭のウィンドウを用いたインスタレーションも公開予定。

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