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THE STORY OF A Walk In The Park : Momoko Nakamura and Aki Tsukamoto

DAYZ RAYARD MIYASHITA PARK South3Fに隣接されるSAIにて、2022年10月27日 (木) より 11月6日 (日) まで東京を拠点に活動する若手アーティスト、中村桃子と塚本暁宣による二人展「A Walk In The Park」が開催される。開催に伴い、アーティスト二人に、どのような経緯で展示に至ったか、話を聞いた。

―――二人がアートに関わることになったきっかけを教えてください。

中村桃子(以下、M) グラフィックデザインの事務所に勤めていたのですが、転職しようと辞めたときに、キャンバ スを1枚買って、初めてキャンバスにアクリルで絵を描いてみました。それをインスタグラムになんとなくあげてみたら、ギャラリーバーをやっている友人から連絡が来て、「展示してみない?」と誘われて。1ヶ月で20枚近く描きました。展示中、バーなので、友人知人がお酒を呑みながらみんな買ってくれたりして。その時にいい暮らしだなぁと 思って転職するのを辞めてしまいました(笑)。

―――画用紙やノートではなく、キャンバスだったんですか?

M なんでですかね...。例えるなら休暇が出来て編み物をはじめるみたいな感じで「やっ てみよう!」って思いが強かったですね。でも描いてみたらキャンバスは布目が邪魔して最初は描きづらくてびっくりしました(笑)。桑沢デザイン研究所に通ってい、イラストレーターがやりたかったんですけど、その後デザイン方面に段々と方向転換した流れです。

―――AKIくんのきっかけは何だったんですか?

AKI TSUKAMOTO(以下、A) 僕は美大生の頃からアーティスト活動をしたいなと思っていて、そこからニューヨークに飛んでバイトしながら絵を描いていたら、今のような形になりました。

―――キャリアが始まったのは、実は同じくらいですか?

A そうですね!ニューヨークに行ったのが2016年なので。

M ニューヨークに行く前は何していたんですか?

A ニューヨークに行く前はKaikai Kikiって言うところで村上隆さんのアシスタントをやっていて。

M え!?そうだったんだ!全然知らなかった(笑)。

A そこは美大を卒業した後、2年くらいバイトしながら作品制作をしていました。だけど、本格的に絵に集中出来るようになったのは、ニューヨークに行ってからですね。

―――ニューヨークでも、アーティストのアシスタントをしながらですか?

A そうですね。新しい土地でしたし、全てが新鮮で、本当に受ける刺激の量が違く、そのおかげで一気に作品の量が増えたって言うのはあると思います。

―――2016年に作品作りをスタートされていて、そこから作風の変化はありましたか?

M 感覚的には全く変わらないんですが、最初の頃の絵と並べて見るとやっぱり結構変わっているなと思います。昔は恐る恐る色を使っていました。渋めの色とか。あとは女の子の眉毛とまつ毛を描いている時が好きなのですが、だんだんそれが強調されていった感じがします。最初個展をした時は、色みと顔立ちが昭和ぽいねと何度かいろんな方に言われたのが印象的でした。今は特にモデルはいないのですが、好みのお顔が出来上がってきて、キャラクター化されてきてるような気がします。

A 僕の作風は少しずつ変化してると思います。感覚は変わってないけど、昔ポートレートは今ほど描いていなかった。最初の頃はもっとアニメチックで色もはっきりしていて、油絵だけど意図的にイラストによせていました。それが段々やっていくうちに今のスタイルに落ち着き、最近は肖像画が多くなっていますね。

―――今回の展示も人物画ですか?

A そうですね。僕らは女性の人物画って言う共通のテーマがあって、他にも色に強いこだわりを持っていたり共通点が多いかなと思っています。対して僕はずっと油絵を使ってきたので画材という点では大きく異なっていますね。

M ずっと?

A そうですね。

M 私はずっとアクリルです。

―――これを機に、桃子さんも油絵やるかもしれないですね(笑)。

A 筆のタッチで言うと、実は桃子ちゃんの方が油絵っぽいんですよね。自分の絵の方が薄塗りなのでアクリルとよく間違われます。

M 私がものすごくせっかちなので、乾くまで待てない気がして(笑)。でも、油絵にはすごく興味があります。老後とかになったらやるのかな。もっと早く気持ち的にはチャレンジしてみたいんですが…。

――結構先ですね(笑)。今回、一緒に展示会を開催するきっかけはなんだったんですか?

M 今回この展示を企画してくれて、自分も所属しているアルファオメガギャラリーに、SAIのスペースにとても興味があるお話をしていて。実際に展示させていただけるというお話になった時に、2人展にしようというお話になり、アルファオメガギャラリーから提案いただき、私もとても好きだったので、塚本くんにお声がけさせていただきました。

――元々お知り合いだったんですか?

A VOIDっていうギャラリーが阿佐ヶ谷にあったんですが、そこで自分が展示をやっているときにももこちゃんが展示のDMを配りに来てくれました。その時が初めてだったかな?

M そうですね!その後もお互いの展示を見に行ったりはしていました。

――今回の展示のテーマはどのように決められたんですか?

M 私は元々個展のタイトルが決まらないと描けないタイプなのですが、いつも塚本くんの展示のタイトルがかっこよかったので、2人展ってどこか実験的なところがあると思っているので、塚本くんが提案してくれる言葉に乗っかってみたくて、2人で考えましょうと言いつつ、、塚本くんから提案されるのを待って、このタイトルが来て、とても良かったので、即乗っからせていただきました(笑)。

A なんか、ぱっと思いついて、これ良いかもって思い提案したのが「A Walk in The Park」本当に思いつきってやつですよ。やっぱり深く考えるとタイトルが難しくコンセプチュアルになるから、そういう縛りのない、ふと浮かんだ言葉を候補に挙げました。難しくないタイトルだからこそ、作品の幅や連想されるイメージの自由度は広がると思ってつけました。

――今回平面ではない、立体的な作品もあると思いますが、あれはどういった意図があるんですか?

M 絵は私は下書きの時点でほぼ完成形が見えてて、そのまま自分の手で最後まで完成形が分かって完成させているのに対して、陶芸は焼いたら全く想像してたものと違う色や質感になっていたり、思ったより縮んでしまったり、割れてしまったり…。そうゆう想像通りにはならないバグが刺激的で好きですね。あとは手が直接土に触れるという感覚がとても脳への癒しになります。

――AKIくんは今回もパステルの作品がありますよね。

A あれは普段ペインティングをする前に描いていた色付きの下絵みたいなもので、今ではデイリーワークになっています。ペインティングと違って短期間で描き上げられるのが良い所で、スピード感や勢いを生み出せますね。パステルを初めて発表したのがDAYZでの展示でした。ペインティングと違って数時間で仕上げるのでうまくいかなくてボツになるものもあるんですよね。

――今回の展示にあたって、何か意気込みはありますか?

M 出身が渋谷の本当にこの辺りで、宮下パークができる前、フットサルパークよりも前の、暗い公園だった頃の宮下公園によく虫をとりに来たり遊びに来てたので、その頃の思い出に浸りながら、制作しました。あんまり人が寄り付かなかったような場所でしたが、今はたくさんの人が毎日訪れるスポットになっていて、私も大好きな場所で出来て、エモさもあって、とても幸せな気持ちで描けたので、ぜひたくさんの方に見ていただきたいです。

A 自分はSAIギャラリーの存在を知ったのがDAYZでのイベントの時で、ずっとここで展示をやってみたいなと思っていました。思っていたら叶うじゃないですけど、急にお声がけいただいたので、特別な縁を感じますね。あとはアトリエを引っ越してから初めての展示なので大型の作品は是非、注目して見て欲しいです。

Interview & Text : Yu Yamaki
Photo : Ryutaro Izaki

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