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THE STORY OF EL CHAVO : Kanji Maehara and STYLE OF CHIKA

前回のインタビューでも語ってもらった、MASSESの前原完治にM&Mの村上俊美とSTYLE OF CHIKAのCHIKARAが協力する形で誕生した唯一無二の鉄鉢。それらに加えてSTYLE OF CHIKAが厳選した貴重なAgaveと新型の鉢をお披露目となるイベントEL CHAVOについて、前原完治とCHIKARAが語る。

INTERVIEW WITH KANJI MAEHARA

Kanji Maehara

——今回のイベントを開催する経緯を教えてください。

今回やるイベントのようなことって、本当によく知ってる人たちしかそういう場所やお店って知らないんです。だけど、これから興味を持ったり最近好きになった人たちに、自分たちが作った鉢と自分が特に好きなAgaveという植物を目の前で見てもらって、何かを感じてもらいたい。鉢に関しては、植えるものは自由なんですが、今回のイベントでは鉢とAgaveを間近で見てもらいたいと思っています。ネット社会で便利になっても、目で見ることや手で触れること、体感することというのはものすごく大切なこと。人生にとって必要なことだと信じています。あとは、ものづくりをしている人は手に取ってくれた人の顔を見たり、コミュニケーションが取れる機会がなかなかないので、その人たちのことを見たり、意見を聞いたりすることもすごく大切だなと。これが開催した理由です。

STYLE OF CHIKA

——完治さんとCHIKARAさんが一緒にイベントを開催するのは初めてなんですよね。

そうです。海外で見たAgaveにものすごく惹かれて、日本でこの植物を探していたらCHIKARA君と出会いました。色々と話していく中で、二人でいつか何かをやりたいねっていう約束をしたと前回も話したと思います。CHIKARA君が植物の海外輸入に本当に苦労していたのを近くで見ていました。言葉の壁や輸送のリスクがある中で、彼が物凄く頑張ってる姿をずっと。今までに何十株、何百株が駄目になってしまったこともあったんです。彼はその中で頑張って、踏ん張ってやり続けたから、コンスタントにいい植物を輸入できるようになった。それくらい彼の集めた株はなかなか見れない貴重なものだから、イベントでしっかりと植物を見てもらいたいっていう想いです。

——本当にトップレベルのものが並ぶってことなんですね。

今回もいい株をCHIKARA君が集めてくれました。こんなにまとまって、クオリティの高いAgeveを見れる機会はそうそうないと思っています。そして今回、Agaveだけではなく、新作の鉢を三型発表します。一つは、大きさは前と同じのスリーサイズ。今度は高さの低い鉢鉄を作っています。あとは今まで作っていた二型のスリーサイズを、今回はアルミで作りました。自分は経年変化、鉄が錆びたりしていく過程が大好きなんですが、世の中には錆びることを嫌がる人もいると思うので。アルミっていうのはほぼほぼ錆びない素材なので、そういう方たちに向けたプロダクトです。

——今回のイベント名の「EL CHAVO」の由来は。

「EL CHAVO」はラテン語なんですが、「EL」は英語のTHEで、「CHAVO」は少年や子供の意味なんです。こうして好きなことを続けていたり、植物が好きというのは子供の頃の延長なんだと思います。子供の頃ってみんなそうだったと思うんですよね。みんな大人になったら、お金の掛け方が変わりますが、根本はみんな子供の時に好きだったものが今でも好きで。自分の中ではハサミの立派な大きいザリガニを家で大切に育てるのと、やっていることは今でも変わらないんですよね。だから少年時代、子供の頃みたいな意味で「EL CHAVO」にしました。ラテン語にした理由は、大好きなAgaveと出会ったのはメキシコですからね。

——用土も開発していると伺ったのですが。

Agaveに限らず、自分たちが好きな植物を育てやすい理想の用土をみんなに届けられたらいいねと仲間で良く話してたんです。集まると話はいつも尽きなくて、用土、肥料、光、風、水などみんなの経験をディスカッションしています。そんな中で農家が本業で、CHIKARA君のAgaveを販売しているCANDY REDのカズ君と東京の高円寺にある芽の巣山石井君は、自分の意志を静かに貫いてる、植物業界に欠かせない人物だと思います。カズ君を筆頭に共同で開発してくれました。二人とも今回のイベントを手伝ってくれます。用土も販売するので是非、楽しみにしていてください。DAYZのイベント後も二人が用土の販売をしていきますので、そちらも合わせて宜しくお願いします。

Candy Red Kazuharu Yoshii

Menosuyama Kazuaki Ishii

INTERVIEW WITH CHIKARA

——Agaveを始めたきっかけは。


海外に本物のAgaveを見に行った時に、人がもう何年も踏み入れていない崖の先に、孤独に生き抜いているAgaveがいたんです。実はAgaveは30年から40年に一回、花を咲かせるんです。その時に、真ん中のマザープランツが枯れてしまうんですが、子孫を残そうといっぱい子供を出すんです。それを実際に見て、感動して始めました。それまで日本の園芸のいかに綺麗に作るかという世界、傷がタブーな世界で生きてきたんですけど、崖の上のAgaveを見た時にこれが本当の植物の姿だって気づいたんです。

——今回イベント開催にあたっての想いを教えてください。

私の仕事って植物を売るお仕事ですが、植物を売るというより、空気やムードを売ることだと思っています。なぜなら、ファッションやインテリアのような感覚で見せることがなかったら、今のブームはなかったと思っているんです。植物が都会に住んでる人にとって、癒しになっているはずなんですね。そして、今回はスペシャルな鉢なので、そこにスペシャルな植物を添えて作品にする。これが完治くんと私がこだわってできた形だと思います。イベントでは、育ててもらう人にバックボーンを知ってもらいたいですね。ここまで来れたのは、人との信頼で成り立ってきたものばかりなんです。一つエピソードをお話しすると、コロナ禍だった去年、アメリカにある親交のあった植物屋さんが潰れそうになってしまいました。何か応援できることはないかと思い、現地の友達に向かってもらったら、気持ちが通じたのかいつもは入れてもらえない特別な部屋に案内してもらえました。つまり、私が売っている植物は、ただ輸入したものではないんです。これらの積み重ねを経て、自分のところにはいい株が揃っているんです。儲けようと思ったらいい株は集まって来ないんです。基本は人に伝えたいという一心でやっています。

——CHIKARAさんの目指すところは。


先程も話しましたが、Agaveには子供が出来るんです。子供を違う鉢に植え替えると、時間はすごくかかるんですけど、どんどん増えていきます。そうすると、もっと手に取りやすい環境になっていく。私がやりたいことは普及なんです。やっとの思いで日本に入れたものも、もし私が買わなかったらすぐに他の国に行ってしまいます。いいものを手に入れたので、転売屋に売るのでは無く、大事にしてくれる人を選んで渡したいんです。そして、Agaveに興味を持ってくれる人が現れたら、最終的に私にたどり着くよう、私が名前をつけたAgaveもたくさんあります。最終的にはその領域まで辿り着きたいですね。

Toshimi Murakami

Interview & Text: Yu Yamaki

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