HOME INSTINCT by TERU NOJI
南フランスを拠点にする日本人グラフィックデザイナー/現代美術家のテル・ノジが昨年に引き続き2度目となる個展「HOME INSTINCT - 帰巣本能」を2024年1月20日(土)よりDAYZにて開催いたします。
◆テーマ
帰巣本能 - HOME INSTINCT
去年果たした18年ぶりの帰国はとてもドラマティックな、感情に直接訴えかけてくる体験でした。しかし愛とノスタルジーの裏側で感じた正体不明の漠然とした疎外感、居場所の無さ。開発の嵐で変わり果てた街並み。感動と落胆の入り乱れた説明のつかない感情。取り残された「自分」。
フランス国に到着したとき、マルセイユ席でエスプレッソの濃さとクロワッサンの食感に思わずほっとした自分に私は抵抗しました。いとも簡単にあっさりと祖国の余韻や望郷の念を忘れ、異国であるはずのフランスに安堵する自分を認めたくなかったのです。
長年帰還しなかった祖国日本が気が付いたら「異国」となってしまっていた。その結果「帰属感」と「異国感」が入れ替わり、エスプレッソとクロワッサンこそがコンフォート・ゾーンそのものになってしまっていた。マルセイユで感じた安堵の正体はそのコンフォート・ゾーンへの帰還による安堵感でした。
とは言えここまで来ると、もはやそういった「帰属感」や「異国感」という区別はいよいよ意味を為さず、それらは意識することではなく、物理的滞在経年数の結果、本能的無意識下で感じる流動的な感情にすぎず、私の生物としての「帰巣本能」はもしかしたら日本でもフランスでもなく、全く別なところ(あるいは次元)に向いているのかもしれません。
何処に向いていようといいじゃないか?
「己のコンフォート・ゾーンをぶち壊せ」というマントラが無意識下で嫌でも何度も繰り返し聞こえてくる。そのコンフォート・ゾーンをぶち壊した向こう側こそ、私の帰るべき巣なのだ。
今回はそんな気持ちでジャポンに挑みたいと思います。
前回の個展の際に伺ったインタビューはこちら
Artist
テル・ノヂ
グラフィックデザイナー、現代美術家。
1971年東京生まれ。1992年バンタンデザイン研究所ファッションデザイン学部卒業。70~80年代の幼少期を父親の仕事の都合で香港や米国で過ごした事が影響し人生の四分の三を諸外国で生きる。90年代にインドに取り憑かれその放浪癖をアジア、中南米、アフリカ大陸に伸ばす。2000年、フランス人女性との間に長男を授かったのをきっかけに当時在住のバリ島から帰国、デザイン事務所を東京にて始動。2006年よりフランス国アルルに移住、現在に至る。二児の父。挑発的な作風、ブラックユーモア、シュール・レアリスム、エロティシズムを特徴とする。横尾忠則氏のポップ・アートに多大な影響を受ける。
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Exhibition
HOME INSTINCT by Teru Noji
日程
2024年1月20日(土)~ 2月4日(日)
場所
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F DAYZ
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